横浜は、坂が多い街だ。
恥ずかしながら、私は36年生きてきてこの事実を知らなかった。
だから大阪から横浜へ家族で引っ越してくるとき、賃貸マンションを選ぶ段階で重視したのは、
- 駅から徒歩何分か
- 子どもたちの幼稚園から徒歩何分か
- 築年数は何年か
せいぜいこのあたりであった。
引っ越してきて、驚いた。横浜の我が家は、駅からずっと坂を登った先、ほぼ頂上付近にある。
もう一度言うが「ずっと登り坂」、である(それもまぁまぁ急勾配の)。
幼稚園も、坂の途中にある。息子が通う習い事の教室も、また別の坂のてっぺんにある。とにかくこの街は、坂だらけ。
いつも息子の習い事の教室へ、親子で手をつないで行く。行くというか、せっせと登る。
だいたい坂の途中のこのあたりで、ほら、いつもの兄弟くんが脇道から登場する。
この小学生の兄弟くんは、息子と同じ教室に通っている。
私と男子3人、チーム一丸となっていつもの坂に挑む。

引っ越してきてすぐの頃、私は「横浜、なんでこんな坂多いねん」といつもぼやいていた(今でも時々ぼやいているが)。
ただ、住み始めた以上は文句ばかり言っていても仕方がない。最近はできる範囲で「坂のいいところ」を考えるようにしている。
- まず毎日坂を上り下りしていると、それだけでなかなかいい運動になる。肺活量が増え、足腰が鍛えられる。子どもたちも身体が少し強くなったと思う(多分だけど)。
あと
- 平坦な道に比べて坂は、ただ登るという行為だけに集中できる。
- さらに坂は登り切った先に、毎回小さな達成感がある。日常のこういう集中タイムと達成感は、けっこう大事である。
いいぞ、いいぞ。坂のことは少し好きになってきたかもしれない。
新しい土地での生活では、「まず好きになれそうなところから、愛着を持っていく」というのが基本だと思っている。
「やっと、追いついた〜!」
先に坂を上っていた私たち親子の後ろから、兄弟くんの弟のほうが息を切らしながら声をあげる。
「横浜は坂が多いから、大変やなぁ」と私。
「たいへん、じゃないよ!」と弟くん。
「それもそうやな」と、一緒に笑った。

